残念だが仕方ないね。
【続報】アイソン彗星の状況と今後の見通し(2013年11月30日)
近日点前後の状況
アイソン彗星は、近日点に近づくにつれて明るくなっていたにもかかわらず、近日点通過後、太陽から遠ざかる際にはきわめて淡くなっています。
日本時間11月28日19時前後から太陽・太陽圏観測衛星SOHOのマスク(遮光板)に入り込む直前の29日1時頃までの間に彗星の核が暗くなったことから、核の崩壊が始まり大きめの破片に分裂したと解釈でき、近日点でかなり融けてしまったと考えられます。
太陽から遠ざかるときの形状の考察
太陽観測衛星の画像を見ると、太陽から遠ざかるときの彗星の形状がV字型になっているのがわかります。このV字型の尾の、上縁は核が崩壊し始めた頃に放出された塵(ちり)が並ぶところ、下縁は彗星の軌道上に残された大きめの塵または破片群であると説明できます。
その後の形状変化
その後、V字型の上縁部分の塵は、次第に中央の集光部から遠ざかるように拡散していき、下縁の方もやや薄くなっています。もし、彗星核が活動している場合には、上縁よりもさらに上側に近日点通過後に放出された塵の尾が伸びるはずですが、その兆候はまったくありません。
したがって、近日点通過後の現在の彗星核(あるいは破片群)からの新たな塵の供給はないと考えられ、当初予想されていたサングレイザー(注)特有のまっすぐな尾が明るくなることはありません。
今後の見え方
近日点通過後に見えていた尾は12月5日頃には約200平方度に広がると考えられ、新たな塵の供給がなければ、その輝度は天の川の最も濃い部分の5分の1以下と見積もられます。これは天の川がはっきり見える暗い空でも、やっと視認できるかどうかです。 破片群がおりなすであろう集光部は、見えたとしても、せいぜいぼんやりとした光が地平線に浮かんでいるようにしか見えないと考えられます。
かなりスキルのあるベテラン観測者であれば、地平線近くに微かな姿を撮影できるかもしれませんが、一般的には地上からも航空機からも肉眼での確認は期待できないと思われます。